ベタの飼育にある程度慣れると「ベタと他の魚を混泳させてみたい」と思う人もいるでしょう。「ベタ同士を1つの水槽に入れるのはおすすめできないが、他の魚とならば混泳できる」という意見を聞いたことがある人もいると思います。それは本当でしょうか?そこで今回は、ベタと混泳ができる魚や、混泳させる方法や注意点などを詳しく解説します。
ベタを混泳させるまえに知っておきたいこと
はじめに、ベタを混泳させる前に覚えておきたいことを解説します。ベタの特徴や育成環境を知れば、無理に混泳させる必要がないということが分かるでしょう。ですから、この項を読んだ上で、混泳させるかどうか判断してください。
ベタは縄張り意識が強い
ベタはとても縄張り意識が強い魚です。特に、オスは別の魚であってもオスを見ると激しくフレアリングして縄張りを主張します。異なる種類の魚であっても、雄同士の混泳はやめた方がいいという意見もあるのです。また、ベタ同士ではオスはもちろんのこと、メスと混泳させることも産卵の時以外はやめましょう。ベタのオスはメスも攻撃することが珍しくありません。
ベタの尾ひれが裂けると病気しやすくなる
ベタは縄張りを守るために攻撃をします。すると、尾ひれが裂けることがあります。その部分から病原菌がはいると、尾ぐれされ病や白カビ病などを発症しやすくなるのです。ベタは病気になると生存率が20~30%ですので、混泳させたばかりにベタの寿命が短くなる可能性も十分にあります。
ベタは流水が強すぎるとケガをしやすい
ベタの原種は沼地や田んぼのような水の流れがほとんどないところに住んでいます。ですから、水槽で飼育するときも流水を弱くしないと巻きこまれてケガをすることもあるでしょう。相性がよくても、流水を好む魚と混泳させると、ベタが尾びれを損傷しやすくなります。また、ストレスもたまりやすくなるでしょう。
ベタと混泳させることが可能な魚4選!!
この項では、ベタと混泳させることができる魚の一例を紹介します。しかし、ご紹介する魚ならば絶対に大丈夫と言うことはありません。混泳する際は、注意深く様子を見ながらすすめていきましょう。
ネオンテトラ
ベタと混泳させやすい魚として、最も有名なのはネオンテトラです。ネオンテトラは性格が温和で泳ぎがうまいので、気性が激しく泳ぎが苦手なベタとは相性がよいことが多いでしょう。水草や流木で隠れ家を作ってあげることでうまく飼育できます。
コリドラス
こりドラスはベタとまったく生活圏が異なるので、ベタと混泳しやすい魚と言われています。ただし、コリドラスは水流を好む種類が多いので、コリドラスに生活環境を合わせてしまうとベタがストレスをためやすくなります。ですから、ベタに生活環境を合わせられる種類を選ぶことが大切です。
オトシンクルス
オトシンクルスはベタとまるっきり生活圏が被らない魚なので、混泳できる可能性は高いのです。しかし、オトシンクルスはとても繊細な魚なので、ベタが同じ水槽にいるだけでストレスをためてしまうこともあります。混泳が成功するかどうかは、個体差によるでしょう。
クーリーローチ
クローリーチもベタと生活圏が被らないので、混泳させやすい魚と言えるでしょう。ただし、砂に潜る習性があるので水が汚れやすく、こまめな水かえが必要になります。つまり、それだけ手間がかかりやすいといえます。
エビは餌になってしまう
時折、小エビの類いは魚ではないからベタと混泳できると紹介しているサイトがありますが、ベタにとって小エビ類は餌です。ミナミヌマエビ、ヤマトヌマエビなどと混泳させると、いつの間にかえびがいなくなってしまうでしょう。ヤマトヌマエビは機動力があるから餌にならないという意見もありますが、それでも限度があります。やめましょう。
ベタを混泳させる方法と注意点
この項では、ベタを混泳させる方法や注意点を紹介します。混泳させる際の参考にしてください。
最低でも60cmサイズの水槽を用意する
混泳させるなら、最低でも60cmサイズの水槽を用意しましょう。狭い水槽で複数の魚を泳がせてもうまくいきません。また、いざとなったらすぐにベタを隔離できるように、しておくことも大切です。
隠れ家を作る
穏やかな魚でも、縄張りを巡って争うことがあります。ですから、隠れ家を作ってあげましょう。隠れ家に逃げこめば争いは終わります。流木、水草などで隠れ家を作ってあげてから、魚を入れましょう。ですから、水槽作りからはじめれば1か月ほどかかる計算になります。
最初は仕切り越しに対面する
ベタと別の魚をいきなり一緒にすると攻撃が始まることもあります。最初は仕切り越しに対面させましょう。ベタだけを隔離できる小さな水槽なども販売されています。どうやら相性がよさそうだと分かったら、仕切りを取ってあげましょう。
混泳できるかどうかは個体差も大きい
ベタでも穏やかな個体もあれば、穏やかな性格の魚でも攻撃的な個体もあります。混泳できるかどうかは、個体差によるといってもいいでしょう。ですから、ベタの飼育仲間が混泳に成功したからといって、いきなり自分も、と思ってはいけません。注意深く行いましょう。
ベタはメス同士でも混泳は危険
ベタはメス同士ならば同種を混泳させても大丈夫という意見もあります。しかし、これも個体差が大きいのです。メス同士でも激しく争うという意見も多いので、初心者はベタ同士を混泳させることはやめましょう。繁殖させた場合は、しばらくしたらベタを1匹ずつ隔離する必要があります。なお、ベタをたくさん1つの水槽に入れれば縄張り意識が麻痺して混泳に成功するという方法を指南している人もいますが、これが成功する確率はかなり低いので、初心者は挑戦しない方がいいでしょう。
まとめ
今回は、ベタの混泳に関して詳しく解説しました。色とりどりの魚が数種類泳ぐ光景は美しい物ですが、ベタに限っては、混泳が向いていない魚です。混泳させたい場合は、数週間は目を離さず、すぐにベタを隔離できるようにして少しずつ様子を見ながら行ってください。